雲龍院は、皇室ゆかりの寺院として知られる泉涌寺の塔頭です。
南北朝時代、後光厳天皇の勅願によって創建され、歴代天皇とのゆかりが深いことから、境内には皇室ゆかりの文化財や歴史を今に伝える建物が残されています。
四季折々の美しい庭園や、丸窓と四角い窓が並ぶ「悟りの間」、色紙のように景色を切り取る「蓮華の間」など、静かに庭を眺めながら過ごせるお寺として人気があります。
また、写経体験ができる寺院としても知られ、落ち着いた空間の中で心を整えるひとときを過ごせます。
目次
参拝記
泉涌寺道をさらに歩き、泉涌寺を通り過ぎて向かったのが雲龍院です。
【泉涌寺道①】京都2月ひとり旅⑰即成院・戒光寺参拝記│泉涌寺の塔頭で出会う静寂と大仏さま
【泉涌寺道②】京都2月ひとり旅⑱今熊野観音寺参拝記│頭痛封じと山あいの静寂に癒やされる古刹
山あいの静かな場所に佇むお寺で、入口を入ると立派な雲龍図が迎えてくれました。

今回のお目当ては写経です。
受付で申し込みを済ませ、本堂「龍華殿」へ向かいました。
写経の前に心身を清める
写経を始める前には、お寺の方が丁寧にお清めをしてくださいます。
まず渡されたのは「丁字(ちょうじ)」。
これはクローブとも呼ばれるスパイスで、香辛料や漢方にも使われる植物です。
一粒を口に含み、口から発する言葉を清めるという意味があります。
特に味はなく、口に含んだまま写経を行いました。
続いて「塗香(ずこう)」。
粉状のお香を手にすり込み、身体の行いを清めます。
最後に「酒水(しゃすい)」。
加持祈祷された清水を頭に数滴注いでいただき、心を清めます。
一つひとつ意味を説明していただきながら進めてくださるので、写経へ向かう気持ちも自然と整っていきました。
展示されていた「香象」という象の形をした香炉も印象的でした。
写経会では、その香煙をくぐって身を清めることもあるそうです。

無心になれる写経の時間
写経は好きな席を選べます。
後水尾天皇寄進の写経机もありますが、正座で行うため、私は椅子席を選びました。
寒い季節だったので、ひざ掛けを自由に使わせていただけるのもありがたかったです。
使用するのは珍しい朱墨。
薄く印刷された般若心経を、一文字ずつ丁寧になぞっていきます。
気がつけば余計なことを考えず、目の前の文字だけに集中していました。
途中、他の参加者の進み具合が少し気になることもありましたが(笑)、なるべく丁寧に書こうとした結果、一時間半ほどかかりました。
最後には願い事を書き添えます。
何を書こうか迷った末に、私は「心願成就」。
書き終えた写経は、ご本尊の前に供えられた三方へ納めて終了です。
本堂内は撮影禁止ですが、自分で書いた写経は外へ出てから撮影することもできます。
写経の功徳
雲龍院では、後円融天皇が写経の功徳を深く信仰され、如法写経を発願されたと伝えられています。
般若心経は262文字という短いお経ですが、「空(くう)」の教えを説く仏教の代表的なお経です。
「眼耳鼻舌身意(げんにびぜっしんい)」という六つの働きを大切にし、五感と心を正しく用いることで人生に光明が開けると説かれています。
意味を理解して書けているわけではありませんでしたが、一文字ずつ筆を運ぶだけでも心が落ち着き、不思議と頭の中が静かになっていくのを感じました。
写経を行う本堂は重要文化財にも指定されており、落ち着いた空間の中でゆっくりと自分自身と向き合うことができます。
静寂に包まれた歴史ある建物だからこそ、自然と集中できる時間になったように思います。
お抹茶とわらび餅
写経を終え「御写経券」を渡すと、お抹茶とお菓子を用意してくださいました。
お茶菓子は柔らかなわらび餅。

中にはあんこが入っていて、とても美味しかったです。
集中した後の一服は、心までほっとする時間でした。
庭園をゆっくり眺める
写経の後はお寺の中をゆっくり拝見しました。

霊明殿の前には、徳川慶喜寄進の石灯籠が美しく立っていて、
内部には歴代天皇の位牌が安置されているそうです。
大輪の間から眺める庭園も素晴らしく、思わず長居してしまいました。

お庭が良く見える位置に「瞑想石」が二つ置かれており、椅子に腰掛けて土踏まずを石に当てながら静かに過ごすことができます。

蓮華の間では、雪見障子越しに四枚の色紙のような景色が切り取られます。


季節によってまったく違う表情を見せてくれるのでしょう。
悟りの窓
「悟りの間」の丸窓は禅で「円相(えんそう)」とも呼ばれ、欠けることのない真理や悟り、宇宙そのものを表す形とされています。

一方、四角い窓は、私たちが生きる現実世界や日々の暮らしを象徴するといわれています。

二つの窓から見える同じ庭も、それぞれ違った印象に感じられるのが不思議です。
ただ景色を眺めているだけなのに、心が静かになっていく場所でした。
走り大黒天
台所には「走り大黒天」が祀られています。
片足を踏み出した珍しい姿をしており、大きな袋を背負って今にも駆け出しそうです。
この走り大黒天は、ドラマ『京都人の密かな愉しみ』にも登場しました。
私はそのドラマで雲龍院を知り、美しい紅葉とお寺を舞台にした物語に惹かれて訪れるようになりました。
今回も改めて、静かな境内の魅力を感じることができました。
季節ごとに花が生けられ、室礼も変わるため、何度訪れても新しい発見があります。
アクセス・拝観情報
- 所在地:京都市東山区泉涌寺山内町36
- アクセス:市バス「泉涌寺道」より徒歩約15分
- 拝観時間:9:00~17:00(受付終了16:30)
- 拝観料:400円
- 写経料:2000円(拝観料・御抹茶込み)
一人旅の実用メモ
まとめ
雲龍院は、庭園を眺めるだけでも十分に心が満たされるお寺ですが、写経を体験することで、その魅力をより深く感じることができました。
丁寧なお清めから始まり、一文字ずつ筆を運ぶ時間は、日常の慌ただしさを忘れさせてくれます。
歴史ある本堂に流れる静かな空気、美しい庭園、そして写経という体験。
京都で「静かに自分と向き合う時間」を過ごしたい方に、ぜひおすすめしたいお寺です。
今回宿泊したホテルの紹介はこちら ➡ 京都2月ひとり旅④|アルモントホテル京都宿泊記【駅徒歩圏・大浴場ありの快適ステイ】
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