京都人の密かな愉しみ Blue修業中シリーズとは
京都人の密かな愉しみ第2シーズンとして2017年から始まったBlue修業中シリーズ。
京都の伝統文化を受け継ぐ若き職人たち5人の“修業”と“恋”と“門出”を描いた群像劇です。
庭師、陶芸家、料理人、パン職人、京野菜農家——
それぞれが厳しい師匠のもとで技を磨きながら、京都の伝統文化を継承しようと奮闘していきます。
京都人の密かな愉しみシリーズの特徴は、
ドラマとドキュメンタリーを行き来する独特の構成。
五山の送り火、節分、祇園祭、紅葉、桜——
京都の四季と共に、若者たちの心の揺れが映し出されます。
シリーズについて詳しくはこちら➡『京都人の密かな愉しみ』とは ― 美しい映像と音楽、季節をめぐる祈りと暮らし。その全体像をじっくり解説 ―
主な登場人物
若林ケント幸太郎(林遣都さん)
十五代目・美山清兵衛(石橋蓮司さん)の弟子。苔を愛するハーフの庭師見習い。
師匠からの「暇出し」を経て、自分のルーツであるイギリスへ。
母・志保(秋山奈津子さん)の営むBar Forest Downは同級生5人がいつも集う。
宮坂釉子(相楽樹さん/吉岡里帆さん)
相楽樹(「送る夏」「祝う春」)/ 吉岡里帆(「祗園さんの来はる夏」「燃える秋」「門出の桜」)
厳しい父・宮坂羊山(本田博太郎さん)のもとで陶芸修業中。自分の芸術性を追求したい情熱と現実の間で葛藤。
幸太郎とはかつて恋人同士だった。
松原甚(矢本悠馬さん)
老舗漬物屋の次男。料亭萩坂の板前見習い。
女将(高岡早紀さん)への一途な恋を原動力に、板長・伊原兆治(岡田浩暉さん)からの試験を見事突破し、東京店へ。
上町葉菜(趣里さん)
西陣の家に生まれたパン職人見習い。
師匠は優しい玉井利夫(甲本雅裕さん)。独創的なパン作りを目指す。
鋭二と結ばれ、最終話では新たな命を授かる。
松陰鋭二(毎熊克哉さん)
大原の京野菜農家見習い。祖母タエ(江波杏子さん)の弟子。
タエが亡くなった後、実は血縁関係がなく養子であったことを告白する。
畑仕事に“卒業はない”。
萩坂唯子(高岡早紀さん)
元芸妓。高台寺門前料亭萩坂の女将。失踪してしまった夫に代わって店を支える。
各話あらすじ(簡潔まとめ)
Part1『送る夏』(2017)
五山の送り火がテーマ。厳しい師弟関係や親との葛藤、京都で生きる決意が描かれます。
➡『京都人の密かな愉しみ Blue修業中』「送る夏」あらすじとロケ地まとめ
Part2『祝う春』(2018)
節分からひな祭りへ。冬の寒さを耐え抜き、春を待つ町衆の暮らしの中で、職人たちの悪戦苦闘が続きます。
➡『京都人の密かな愉しみ Blue修業中』「祝う春」あらすじとロケ地まとめ
Part3『祇園さんの来はる夏』(2019)
祇園祭完全ドキュメント。
鋭二の過去、甚の太鼓、釉子の切ない失恋……。祭りの喧騒の中でそれぞれの恋と絆が動きます。
Part4『燃える秋』(2021)
紅葉に染まる京都。幸太郎と釉子の過去の交際が明らかに。鋭二と葉菜の恋に立ちはだかる父という壁。
Part5『門出の桜』(2022)
シリーズ完結編。全員に課される「卒業試験」。
幸太郎と釉子が共にイギリスへ渡るラスト、甚は東京へ、葉菜の妊娠など、それぞれの「新しい道」が描かれます。
制作の裏側にあった別れと試練
『Blue修業中』シリーズの5年間は、決して平坦な道のりではありませんでした。現実世界で起きた出来事が、物語の形を大きく変えたこともこのシリーズの特徴です。
- 名優・江波杏子さんとの別れ 鋭二の祖母・タエを演じた江波杏子さんが2018年に急逝されました。ドラマの中でも、Part3『祇園さんの来はる夏』の冒頭はタエさんの葬儀から始まります。現実の悲しみをそのまま役の死として描いたことで、鋭二の孤独や成長がより胸に迫るものとなりました。
- ヒロイン・釉子のキャスト交代 Part2までは相楽樹さんが演じていた釉子役ですが、ご本人の活動休止に伴い、Part3からは吉岡里帆さんへとバトンタッチされました。突然の交代に驚いたファンも多かったですが、吉岡さんが演じる「より芯の強い、情熱的な釉子」もまた、シリーズに新しい風を吹き込みました。
- コロナ禍による2年の空白と、料理コーナーの変遷 2019年のPart3からPart4まで、放送が2年空いた背景にはコロナ禍の影響があったのではないかと思っています。その影響は人気コーナー大原千鶴「あっさりだけやあらしません」にも。 当初はアナウンサーの松尾さんとの軽妙な掛け合いが名物でしたが、感染対策のためか、2021年Part4『燃える秋』では大原さんがお一人で料理をしています。2022年の完結編では松尾さんが戻られましたが、アクリル板越しにそれぞれが調理する姿は、まさに「あの時代」を象徴する、歴史の記録とも言える光景でした。
シリーズごとの違い
第1シリーズはヒースロー先生(団時朗さん)の目線で、久楽屋の若女将・三八子(常盤貴子さん)の物語と、オムニバス形式の短編ドラマ、ドキュメンタリーや京都の人へインタビューが入り、京都人の暮らしを多面的に描いていました。
第1シリーズ、他のエピソードはこちら➡『京都人の密かな愉しみ』第1シリーズ再放送記念― 京都に息づく「祈り」と「癒し」をたどる旅 ―エピソード1 ➡『京都人の密かな愉しみ 夏』ロケ地めぐり ➡「京都人の密かな愉しみ 冬」ロケ地めぐり ➡「京都人の密かな愉しみ 月夜の告白」ロケ地めぐり ➡「京都人の密かな愉しみ 桜散る」最終話ロケ地めぐり
第2シリーズBlue修業中ではオムニバスはなくなり、5人の若者に物語が集中。
ドキュメンタリー部分では実際俳優が紛れ込むことで、ドラマとの境界線なく溶け合っています。
- 『送る夏』の鋭二: 単なる撮影用のカットではなく、保存会の方々と一緒に汗を流し、五山の送り火の準備をする姿は、もはや「農家の鋭二」そのもの。
- 『祇園さんの来はる夏』の幸太郎・甚・鋭二: 放下鉾(ほうかほこ)のお囃子の練習に混ざる幸太郎、綾傘鉾(あやがさほこ)棒振り囃子の稽古で笛を吹き、棒振り踊りで太鼓を叩く甚、そして太子山の担ぎ手として祇園祭本番の巡行を歩く鋭二。
エキストラではなく、実際の保存会の方々の中に混じり、本物の現場の中で薪を運び、山鉾を担ぐ。京都の伝統行事の担い手となって『生きている』姿がカメラに収められています。
第3シリーズRouge-継承-(プレミアムドラマ枠)になると、
ドキュメンタリー部分や大原千鶴さん、松尾アナウンサーの料理コーナーは姿を消します。
面白いのは第1と第2は世界が分離しているのに、
第3では人物が行き来し始め、世界が融合していく点。
第1シリーズオムニバスドラマ「桐タンスの恋文」で主人公:辻純正役だった林遣都さんが、第2シリーズで主人公幸太郎として登場したので、
これは全く別のストーリーが始まったんだな、と感じていました。
(ちなみに井之上チャルさんも第1、第2シリーズに別の役で出演されています)
Bar Forest Downの客として第1シリーズでおなじみのキャラクター(ヒースロー先生や、沢藤鶴子(銀粉蝶さん))が現れとても懐かしい気持ちになるのですが、ストーリーには関係していなかったので。
しかし、第3シリーズに徐々に第2シリーズの登場人物たちが顔を出し始めます。
源監督が音楽に関して、阿部海太郎さんに「第1、第2シーズンの事は忘れて作ってほしい」とオーダーされたとか。
確かに、Rouge-継承-第一話ではこれまでに聞いたことのない新曲ばかり。
第1シリーズのキャラクターは出てきているけれど、新しいシリーズなんだと音からも感じさせられました。
しかし、徐々にストーリーが進むにつれて、以前のシリーズの音楽も流れるようになってきました。
第3シリーズに、過去のシリーズが融合していっていることを、ここからも感じることが出来ます。
2026年新作についてはこちら ➡「京都人の密かな愉しみ Rouge-継承-」8年後の再会 ➡京都人の密かな愉しみ Rouge −継承− 第3・4話ロケ地巡り|洛中洛外と西陣の記憶をたどる ➡京都人の密かな愉しみ Rouge −継承− 第5話ロケ地巡り|中秋の名月と“はんなり”の正体
作品をもう一度味わいたい方へ
【京都人の密かな愉しみ】
【京都人の密かな愉しみ Blue 修業中】
阿部海太郎さん【Cahier de musique 音楽手帖】
音楽を担当されている阿部海太郎さんのアルバム。「京都人の密かな愉しみ」から「沢藤三八子」「京都、第一景」「京都、第二景」「京都、第三景」「エドワード・ヒースロー」「京都、第四景」そしてエンディングテーマ・武田カオリさんが歌う「京都慕情」が収録されています。
阿部海太郎さん 【ピアノ撰集-ピアノは静かに、水平線を見つめている- 】
阿部海太郎さんのピアノ楽譜集で「京都人の密かな愉しみ」から「エドワード・ヒースロー」と「ミヤコ・サワフジ(沢藤三八子)」が収録されています。
大原千鶴さん【大原千鶴のいつくしみ料理帖】
大原さんのお料理コーナー、松尾アナウンサーと楽しくお話しされながらささっと作られていて本当に大好きです。
まとめ
『Blue 修業中』は、若者たちの成長譚であると同時に、彼らを育む京都という街の厳しさと優しさを描いた物語です。 ドキュメンタリー部分が濃厚で「京都の空気感」を一番濃く味わえるのは、この『Blue 修業中』ではないでしょうか。

