NHKドラマ『京都人の密かな愉しみ』。
──それは、京都という町の美しさ、祈り、そして人の優しさを、静かな時間の流れの中で描いた名作です。
美しい映像と音楽、伝統に生きる人々の姿。
京都という町を「旅するように感じる」、さらに言うなら「実際に生きているように感じる」ドラマとして、今も多くのファンの心をつかんでいます。
この冬、NHK BSとNHK総合 で再放送が決定。
再びあの世界に浸れる喜びとともに、登場したロケ地をたどって「癒しの京都」を訪ねてみませんか。
シリーズについて詳しくはこちら➡『京都人の密かな愉しみ』とは ― 美しい映像と音楽、季節をめぐる祈りと暮らし。その全体像をじっくり解説 ―
目次
将軍塚青龍殿 ― 京都を見下ろす祈りの地
物語の冒頭で団時朗さん演じるヒースロー先生が早朝特別に絶景を楽しんだ場所として印象的なのが、東山山頂にある将軍塚青龍殿の大舞台。

広大な舞台からは京都の街が一望でき、秋の空気の中での景色はひときわ澄みわたります。
ここは比叡山延暦寺の青不動明王を安置する場所であり、古くから京都を守る「祈りの聖地」。
寒空の下に立つと、静けさとともに不思議な温かさが胸に広がります。
アクセス案内を見るとタクシーを使うしかないかなという、少し不便な場所なのですが、
青蓮院門跡の飛地境内である将軍塚。青蓮院門跡は地下鉄東山駅から徒歩約5分ほどなので、そこに参拝されてから、タクシーだと約5分、徒歩だと30分ほどという事なので、頑張って歩いて行かれるのはいかがでしょうか。
下鴨神社 ― 物語の原点、糺の森の光と影
常盤貴子さん演じる主人公・三八子が出かけていくのが、糺の森を抜けた下鴨神社。
冬の森はしんと静まり、木漏れ日がゆっくりと揺れています。
下鴨神社は京都最古の社のひとつでありながら、訪れる人をやさしく迎える穏やかさがあります。
三八子が立ち寄る、下鴨神社の中の「相生社(あいおいのやしろ)」は縁結びの神様として知られています。

願い事を書いた絵馬をもって、男性は右回り、女性は左回りに社をまわり、三周目で結縁を祈願します。
わたしもドラマを見てもちろん行きました。けれどこの作法を知っていたのに、いざこの場へ立つと、人も沢山いたし「三周するの恥ずかしい…」と思ってしまったのでした。
(やっている人も見かけなかったような。)
次に訪れたらちゃんと作法にのっとってお参りしたいと思います。
このエピソードの最後、御手洗川にかかる石橋で雲水さんと三八子の逢瀬のシーンの美しいこと。
そして流れてくるエンディングテーマ「京都慕情」の美しいこと。
何度見てもときめいて、うっとりしてしまうシーンです。
下鴨神社の詳しい記事はこちら→下鴨神社|紅葉と祈りを感じる一人旅
雲龍院 ― 静寂の中の悟りの光
オムニバスドラマ「わたしの大黒さん」(縁結び編)の舞台になる泉涌寺塔頭・雲龍院の情景は、このドラマで大好きなシーン。

秋の紅葉が本当に美しく、中村ゆりさん演じる一柳美里と、福士誠治さん演じる村上晃が縁側にいるシーン素敵ですよね。
わたし自身、このお寺に惹かれて何度も足を運びました。
写経体験、「蓮華の間」では障子の窓から4つ切り取られた庭の景色、「悟りの窓」から差し込む光など、ドラマには登場しない素敵な体験、見どころがあります。
ドラマに登場する「走り大黒天」は、本当に台所にいらっしゃってびっくりしました。
物語の中で「縁結びのご利益がある!」と言われていますが、実際の雲龍院さんでは特別そうおっしゃられてはいないようです(多分)。
でも、この走り出しそうな前のめりの大黒さんを見ていると色んなことを叶えてくださるような気がしてきます。
じっくり見つめあってきました。
冬の雲龍院は人も少なく、
写経を終えて、お抹茶とお菓子をいただきながらただ静かに座っているだけで心が整っていくような、深い“癒し”を感じます。
京都府立植物園 ― 四季の息づかいを感じて
オムニバスドラマ「煎茶の深情け」(京都人の作法編)の中で美しく映し出されたのが、京都府立植物園。
京都の穴場紅葉スポットとして紹介されています。
撮影場所になっている「なからぎの池周辺」の紅葉は必見です。
冬の園内は一見寂しげでも、温室に入ると生命の息づかいが感じられます。
瑞春院(相国寺塔頭) ― 静けさの象徴
オムニバスドラマ「桐タンスの恋文」(代替わり編)で登場するのが一般公開されていない瑞春院(相国寺塔頭)。
林遣都さん演じる辻純正が「洗い屋」(京町家、寺社仏閣、タンス等を洗う)として訪れます。
水上勉の小説「雁の寺」に登場する普段は非公開の「雁の襖絵」を見ることが出来る機会で、文芸編集者を目指す純正はじっと見入っています。
ドラマを通じてこの襖絵を見ることが出来るのも貴重です。
瑞春院は公開されていませんが、相国寺には訪れました。
三八子が若女将をつとめるお店・老舗和菓子屋「久楽屋春信(くらや はるのぶ)」は「俵屋吉富」の本店で撮影されていて、相国寺から近いです。
ヒースロー先生がぜんざいを食べるカフェのシーンは、俵屋吉富小川店併設の「茶ろん たわらや」です。
是非合わせて訪れてみてください!
一人旅の実用メモ
癒しの宿おすすめ(じゃらん・Agoda対応)
- ザ・ホテル青龍 京都清水(Agoda) 清水寺そばの元学舎を改装した、静かなラグジュアリーホテル。 歴史とモダンが調和した空間で、京都の夜を特別な時間に。 ▶ ザ ホテル 青龍 京都 清水をagodaで見る
- エースホテル京都(Agoda・じゃらん) 烏丸御池駅直結でアクセスも便利。歴史ある洋館「新風館」を再建したホテルでデザインもとても素敵です。 ▶エースホテル京都をagodaで見る/▶エースホテル京都をじゃらんで見る
- ホテルオークラ京都(Agoda・じゃらん) 鴨川や御所散策に便利な立地。落ち着いた空間と伝統のサービス。 ▶ ホテルオークラ京都をAgodaで見る/▶ホテルオークラ京都をじゃらんで見る
作品をもう一度味わいたい方へ
●【京都人の密かな愉しみ】
作品のDVD全5巻セット。この美しい作品、Blu-rayで出してくれたらいいのにと私は思っております。(今からでもお願いします)
●阿部海太郎さん【Cahier de musique 音楽手帖】
音楽を担当されている阿部海太郎さんのアルバム。「京都人の密かな愉しみ」から「沢藤三八子」「京都、第一景」「京都、第二景」「京都、第三景」「エドワード・ヒースロー」「京都、第四景」そしてエンディングテーマ・武田カオリさんが歌う「京都慕情」が収録されています。
●阿部海太郎さん 【ピアノ撰集-ピアノは静かに、水平線を見つめている- 】
阿部海太郎さんのピアノ楽譜集で「京都人の密かな愉しみ」から「エドワード・ヒースロー」と「ミヤコ・サワフジ(沢藤三八子)」が収録されています。
まとめ ― 京都が教えてくれる“静けさの美学”
『京都人の密かな愉しみ』は、
観光でもグルメでもなく、「人の心と祈り」を描く京都の物語。
すべてのシーンが、京都の町や寺社に彩られ、美しく、趣があり、
寺社で祈ることが生活にあり、
心にしみる人々の優しさ、思いやりで満ちています。
冬の京都を歩くと、ドラマのワンシーンが蘇るような瞬間があります。
ぜひドラマをご覧になって、また京都へお出かけください!
おすすめの寺社はこちら→春の京都まとめ|花と光に包まれる、一人旅の祈りと癒し
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